storm glass/ストームグラス/天気管
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この不思議な器具は19世紀のヨーロッパで使われた天気予報の道具です。樟脳などいくつかの化学薬品をアルコールに溶かしてガラス管に詰めたもの。溶液や沈殿の状態によって近未来の天気が予想できるため天気管あるいはストームグラスと呼ばれます。
19世紀初期にはすでに航海時における天気予報の道具として、当たり前に使われていました。進化論を生み出したチャールズ・ダーウィンが乗船したビーグル号や、ジュール・ベルヌの小説「海底二万里」に登場する潜水艦ノーチラス号にも搭載されています。航海には必須の道具でしたから、各地の港にも設置されていました。
では、いかにして天気管内の結晶が天気に感応して変化するのか?大気の温度や湿度、気圧、大気電気学的な影響等によって、溶解度や結晶形状が変化するためと考えられています。が、その仕組みは未だ完全には解明されてはいないようです。19世紀科学の謎の一つです。
さて、ストームグラスはなかなか魅力的な道具ですが、商品としての「天気管」を販売するかどうか、面白ざっか・デジモバでは検討のため、サンプルを事務所において数ヶ月様子を見ました。その結果これは販売したい!と感じましたが、それは素晴らしい天気予報をする道具だからではありませんでした。
どれぐらい天気を予報できるのか?
まずはどれぐらい天気を予報できるのか?実際に見てみようということで、サンプルを仕入れて様子を見ました。7月末の暑い盛りでした。底の方5mmほど白い沈殿物がありました。でも、ほとんど変化がありません。さらに、お盆を過ぎてもやはり変化なし。「こりゃダメ…」
念のために冷蔵庫に数時間入れて見ると、管いっぱいに白く濁った沈殿物が生じていました。「…ということは、気温が低くなると何らかの変化があるかも知れない」ということで、期待はしないけれど、さらに様子を見ることにしました。
20013年8月28日になると、単なる沈殿物ではなく、底に小さな結晶が生じました。その後、秋の台風シーズンに入ると、ストームグラスの結晶は急激に量が増え、美しく大きな結晶に変化してきました。管いっぱいに結晶が成長した時には数日後には強い台風の来襲がありました。
まあこんなわけで、夏の気温の高い間はストームグラスは役に立たないことがわかりました。とはいえ、結晶を観察できる状態になっても、ストームグラスによって天気を予想するにはかなりの熟練と観察力が要求されます。怠け者で集中力のない私(店長)にはちょっとムツカシイかな?
【付け足し】
※冬の間は、天気に関係なく結晶は豊富です。とは言え、暖房の効きすぎた室内では潤沢な結晶の生成は期待できません。
※夏季は室温が27度を超えるようになると結晶の量が激減します。室温が25度以下になると、また結晶は豊富になってきます。エアコンを入れても28度設定にするような季節には豊富な結晶は期待できません。つまりおよそ6月~9月はお勧めしません。ご注意ください。
左:13年8月28日(最高32℃/最低23℃)ようやく底に小さな結晶が生じた。 右:13年9月30日(最高25℃/最低19℃)これだけ結晶が成長すると、天気予想ができそうな気配。。 |
左右とも:13年10月6日(最高24℃/最低19℃)10月9日フィリッピン東海上に発生した台風25、26号を表していたのかも。 |
※上の画像はすべて拡大画像です。直径3cmの管です。
天気予報と天気管
天気予報システムの完備されている現代では天気管から天気を読み取る切実な必要性がないために、わざわざ天気管を習熟しようという気にはなりにくいです。結晶の量や形状の変化を見て「おや?」っと思ったら天気予報を見ればいいわけですから。ストームグラスによる天気の予想としては「この分では数日後に雨が降るか嵐が来るかも知れないね」ぐらいで十分かと思いました。
地球を感じる面白さ
それよりも、ストームグラス内の結晶変化がとても美しく、時に見とれることもあります。この小さな管の中に、結晶が成長したり、崩壊したり、浮遊したりして、日々変化します。
お天気というのは地球表面の大気の変化の現れです。その変化の予兆が小さな一個の天気管に結晶の変化として表れる。大気と天気管が連動していて、巨大な地球大気より数日前に小さな天気管が変化する。
この関係はそれなりに納得できるものがあります。だから天気管を通して「地球」の変化を感じるのは「なかなかいいね!」と思うのです。これが面白ざっか・デジモバで、商品としての天気管を販売しようと考えた理由です。
それに実は、地球を感じることの面白さだけではなくて、何より美しいことも大きな理由です。こんな、なんでもない小さな器具の中に、自然が造形するとても美しい結晶が毎日少しずつ変化していく様はアートそのものなのではないでしょうか?
見てるだけで「地球」と「アート」、このとどちらもが感じられる天気管をぜひお手元に置いてみてください。あなただけでなく、好奇心いっぱいの彼女にもプレゼントしてあげると喜ばれますよ。
仕様
・商品サイズ:幅80×高60×奥行80(mm)
・ガラス管直径:30mm
・パッケージサイズ:幅85×高240×奥行85(mm)
・材質:ガラス(管)、木材、水、エタノール、樟脳(ショウノウ)他
・本体重量:約170g
・生産国:中国
※エアコンを入れても28度設定にするような季節には豊富な結晶は期待できません。つまりおよそ6月~9月はお勧めしません。ご注意ください。
ストームグラス/天気管の動画はこちら
● 時間経過の変化動画
● 商品紹介動画
<以上、動画紹介>
※上の画像はすべて拡大画像です。直径3cmの管です。
ストームグラス/天気管
返品についての詳細 |
2つのストームグラス大きさ比較
「ストームグラス/天気管」が直径30mmのガラス管に対して直径90mmの球体である「ストームグラス地球儀」は、容積が大きいため暑い季節になっても豊富な結晶が観察できます。
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天気管内の変化と天気予想
天気管の中の変化がどんな天気を予想しているかについては、この天気管のパッケージに記されていますが、もう少し詳しくはウィキペディアで次のように記されています。
・天気が晴れるなら、ガラス管内の固形分は完全に底に沈み、液体は澄みきる。
・雨に変わる前は、沈殿物の量が徐々に増え、星のような形のものが透明の溶液中を浮遊する。
・嵐やひどい風の前には、固形分の一部が溶液の表面まで達し、大きな葉のような形になる。溶液は濁り、発酵しているように見える。この現象は天気の変わる24時間前に見られる。
・冬、特に雪や霜のときには、管の高い位置まで沈殿物が積もる。内容物はとても白く、浮遊する点状のものが見られる。
・夏、とても天気がよく暑くなるときは、沈殿物は管の非常に低い位置までしか積もらない。
・風や嵐が接近してくるときは、接近してくる方向の反対側のガラス管の壁に沈殿ができる。